ステントグラフト内挿術
大動脈STENT
ステントグラフト治療
ステントグラフトとはステントという金属製の骨格にグラフトといわれる人工血管を縫い付けて作成されたものです。これを血管内に留置することにより、動脈瘤に直接圧力がかからない状態を作り出すことによって、動脈瘤の破裂を予防します。
ステントグラフトは、細く折りたたんだ状態でカテーテル内に収納されており、通常、足の付け根の動脈(大腿動脈)からカテーテルを入れ、放射線イメージを使うことにより、胸部や腹部の動脈瘤の部分に留置します。
この方法により、従来の人工血管置換手術であれば胸部や腹部を20cm以上切開しないとできなかった動脈瘤の治療が、足の付け根の皮膚を約5cm程度切開することで治療可能となり、身体への負担が少なくてすみます。
従来、80歳以上の高齢者や、心臓、肺などに合併症をお持ちの方については、危険性が高くて手術を勧められなかった場合がありましたが、そういった患者さんへも安全に治療することが可能となりました。
ただし、ステントグラフト治療は、動脈瘤の位置またはその前後の血管の状態(石灰化、動脈硬化)によっては治療できない場合があります。
また、ステントグラフト特有の合併症として、血管損傷やエンドリーク(動脈瘤内への血流が残ること)、ステントグラフトの移動が稀にみられることがあります。
このため、治療後も定期的にCT検査を受けていただく必要があり、場合によっては追加の治療(カテーテル治療、開胸・開腹手術)が必要になることもあります。
このように、すべての患者さんにステントグラフト治療を行うわけではなく、年齢や全身状態、合併症の有無、CT検査の画像解析を行った上で、それぞれの患者さんに適した治療方法を検討し、患者さんへ十分な説明を行い、同意を得た上で治療を行います。